今日は文科省の事業仕分けがありました。
端的に言うと、予算請求に無駄なものがないかチェックするための議論です(議論というよりも、削減される候補に対して与えられた申し開きの機会――というほうが実態を表しているかもしれませんが)。ウェブでも動画配信されていましたし、#shiwake3のハッシュタグで展開されたtwitter上でも数多くのつぶやきが展開されました。
自分たちに関わりの深い部分ですから、財政難により他の省でも軒並み予算が削減あるいは停止されている中、予算額が減ることを予想した上でこれを視聴していました。
若手研究者への支援が大幅に削減される見込みで、それじゃあ自分で資金を獲得――となっても、そのときには他の科研費も削減されているので、既にトップ研究者でなければ研究費獲得できないなんていう状況になりそうです。
研究費削減に伴い、ポスドク問題といわれるように、不安定な雇用契約で働いている博士たちの中には、契約を打ち切られる方も多く出てくるでしょう。事業仕分けで飛び出した表現によれば「甘えすぎで、自然淘汰されるべき」とのこと。今後、アカデミアにおける派遣切りに繋がることは必至でしょう。
それでも、「納税者がトップレベル研究者にお金を払った分、納税者個人にもリターンを貰えないと納得できません」というのは、有形無形の多様な成果があるため明確に打ち出すことは困難であるものの、やはり至極まっとうな要求であり、それが不足して感じられれば予算を削減されても止むを得ません。
――と、ここまでは良いのですが、非常に気になったのが、その事業仕分けで聞かれた発言の乱暴さです。
もっとも酷いのは、学術振興会の奨学生に対する生活保護者扱いです(自分は旧・育英会からの奨学金という名のローンだけなので、直接の当事者ではありません)。まるで彼らが大学卒業後に働くのを放棄したモラトリアムであるかのような扱い。奨学生たちはごく優秀な方たちが選抜されており、本来であれば自分で働いてお金を稼げるところを敢えて学究の道に身を捧げている研究者の卵であるのに――です(もちろん、それが好きでやってるわけですが)。
予算が削られること自体よりも、このようにしか認識されていないことが悲しいです。
もう少し冷静な議論を見せて欲しかった。
出席した文科省官僚にはもう少ししっかりして欲しいものです。なにしろ、まともな議論ができていたのは日本科学未来館の館長をしている(元?)宇宙飛行士の毛利さんぐらいでしたから。
ただこれは、口下手でも良しとされ、それを許すことになった科学者たちの罪でもあります。
毛利さんの優れたプレゼンにより、唯一まともな議論が成立し、科学未来館の処遇についてはそれなりに喜んでも良さそうな結果になったことから、広い意味でのコミュニケーションスキルの習得が科学者にとっても欠かせないものであることが如実に示されました。そして研究室に引き篭るのではなく、外部に対して積極的にコミュニケーションをとる必要もより鮮明になったのではないでしょうか。
初めはこのブログエントリーのタイトルを「科学者たちの魔の金曜日」とでもしようと熱くなっていましたが、これはむしろ、これまで科学や研究と呼ばれるものを、世に理解されるようなかたちで発信してこなかった科学者たちのみそぎの日と考えたいと思います。
それにしても、今回初めて予算編成の一部が公開されたわけですが、これまでこうしたやり取りは全て密室で行われていたということになります。影響を受ける当事者ですら異論を唱え得ない状況だったとは、空恐ろしいものがありますね。
2009年11月13日
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